高校物理を学びなおそうとしている人,そして高校生で物理を苦手と思っている人に対して物理の楽しさ奥深さを感じながら一緒に勉強していこうというテーマで書いている記事です。今回は 光量子仮説 です。
前回は光電効果の謎について話をしました。前回の記事はこちら☟
今回はこの光電効果をどのように説明したか解説していきます。
量子論の誕生
アインシュタインが光電効果をエレガントに証明する前にその素地となる考えを解説していきます。
温度と波長の関係
19世紀末のドイツでは製鉄技術の発展のため鉄の温度を正確に測定する方法が模索されていました。
そこで注目されたのが「高温になると物体は光を発する」という現象です。
この時に発する光の波長と温度の関係を法則化していくと長い波長と短い波長では法則性が異なり、この2つを統合することはできませんでした。
この時に現れたのが「量子論の父」マックス・プランク(1858~1947年)です。
量子仮説
温度と波長の公式を1つに統合することができたプランク。その式から次のようなことを提唱します。
光のエネルギーは量子化されているんだ!
つまりプランクは「光のエネルギーとは、ある最小単位の整数倍しかとることができず、離散的である」ということを言っているのです。
この考え方を参考に生まれたのがアインシュタインの光量子仮説です。
光量子仮説
光はエネルギーの小さな塊、つまり粒子である!
アインシュタインは「光は粒子である」と言いました。
えっ⁉光は波じゃないの?
じゃあ、今までに証明された実験とかは何だったの?
皆さんが混乱するのも無理ありません。今までの実験結果から光は波!これはもう確定的でした。
しかしアインシュタインはこれをひっくり返したわけじゃありません。
光は波動性と粒子性の2つを併せ持つ。
つまり、光は波でもあるし、粒子でもあるんだ。
このように考えれば、光電効果をエレガントに証明することができるのです。
しかし、粒子であり波???
正直「ちょっと何言ってるかわからない」状態です。
元来、粒子とは物質であり、波とは物質の状態や現象を表します。
アインシュタインはこの我々が持っていた常識を覆しました。アインシュタインが常識を覆したと聞くとアインシュタインの名言を思い出しますね。
常識を覆し続けたアインシュタインだからこそ心に刺さる言葉ですよね。しかもこの光量子仮説を提唱したのはなんと26歳の時です。信じられないですね。
光量子仮説 を用いた光電効果のイメージ
さて、金属内の自由電子は、陽イオンから静電気力による引力を受けているため金属の外に出ることができません。
しかし、金属の種類によって決まるある値以上のエネルギーW[J]を自由電子に与えると、この静電気力を振り切って電子は外に出ることができます。
このエネルギーW[J]を仕事関数と言います。
それでは、光量子仮説を用いて光電効果をエレガントに解決していきましょう。
① 光電効果発生の有無は光の振動数によってのみ決まる
⇒ 光は振動数によってエネルギーが決まる光子という粒子である。この光子のエネルギーが金属から電子が飛び出す最低限度のエネルギー(仕事関数)に達しないと光電効果が起こらない。
光電効果がおこるギリギリの振動数のことを限界振動数という。
② 飛び出した光電子の運動エネルギーも光の振動数のみによって決まる
⇒ 同上
③ 光を強く(明るく)すると光電子の数が増える
⇒ 光子と電子は1対1の関係にある。仕事関数以上の光子が3つ飛んできた場合、3つの電子が外に飛び出す。「光を強くする=光子の数を増やす」ということになるため、光を強くすると光電子の数が増える。
おわりに
20世紀最大の物理学者アインシュタインの偉業。
そして量子論の始まり。。。
ぞくぞくしますね。
それでは次もしっかり学んでいきましょう。じゃあね!
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